「ジェームズ・ボンドのようなセレブスパイの時代は終わった!これからのスーパースパイはチンピラだ!」という、間違ってはいないが思いっきり間違っているコンセプトを元に作られたケッ作アクション映画『トリプルX』。その続編『トリプルX ネクスト・レベル』は、アメリカ公開時に凄まじい悪評を受けた。
『トリプルX ネクスト・レベル』の原題は『xXx2 State of the Union』である。「State of the Union」とは「国家の現状」で、「State of the Union Address」で「一般教書演説」となる。
『トリプルX ネクスト・レベル』はどうして悪評を受けたのか?どうして「State of the Union」というタイトルなのか?っていうか『トリプルX』のラストシーンで正式なトリプルXになれたのにボラボラ島に遊びに行った主人公ザンダーはどうしているのか?それらは映画本編を観れば凄くよくわかった。以下ストーリーの解説。
- 映画のオープニングはトリプルXの世界から無縁なのどかな牧場から始まる。牧場に全身黒ずくめの特殊部隊が殴りこんでくる。めっちゃ目立っていて隠密性がまるでない。
- 特殊部隊が牧場の地面に爆弾を仕掛けて起爆させると、爆発の力によって地面が掘られて地下にある施設まで通路ができる。どんだけスゲー爆弾なんだよソレ。
- その地下施設は国家安全保障局(NSA)の秘密基地だった。政府の地下秘密基地という時点でどうしようもない映画だ。
- 秘密基地に侵入した特殊部隊はNSAのエージェントたちとの銃撃戦になる。特殊部隊の目的はサミュエル・L・ジャクソンの捕獲だった。だったら死者を出してまでわざわざ秘密基地に侵入する必要は無いと思う。彼らは空飛ぶ小型ロボットを使いサミュエル・L・ジャクソンを探す。
- サミュエル・L・ジャクソンは『トリプルX』にも登場したオタクパシリを連れて車で逃走する。あんだけ派手に攻め込んできた特殊部隊にしてはおそまつすぎる結果だが、サミュエル・L・ジャクソンの車がフロントからミサイルを発射して暴れたので仕方ない。
- サミュエル・L・ジャクソンはオタクパシリに先ほどの空飛ぶ小型ロボットを渡す。オタクパシリはそれを見て
「これは夢の装置だ!10世代は離れているぜ!地熱式小型カメラに超大容量送信機がついている!」と言うが、そんなことより自律で飛行できる機構の方が遥かにスゲーだろ!カメラと送信機なんてケータイと同じ機構じゃないか。
- 強大な敵に狙われていることを知ったサミュエル・L・ジャクソンは「新トリプルXはスケーターとかボーダーとかじゃねえんだよ!もっと危険なヤツにしよう!」と宣言。危険な人間ということで新トリプルXは犯罪者から選ばれる事になった。
- 国防長官(ウィレム・デフォー)がアメリカ合衆国大統領にNSA襲撃事件を報告する。
アメリカ合衆国大統領「容疑者は?」
ウィレム・デフォー「多すぎてわかりません」
あの特殊部隊も死者が出て死体残っているんだから、わからないってことはないだろ!完全武装が出来る特殊部隊なんて少ないはずだぞ!
- アメリカ合衆国大統領は武力を弱めて敵国との対話路線を重視しているが、タカ派のウィレム・デフォーにはそれが不愉快である。
- 報告を受けた大統領は会議で「16人のNSAのエージェントが殺された。新しい方針を打ち出す時だ。一般教書演説で新しい軍事法案を示す。」というまとまりのない台詞を言う。
- その後「昨日ボラボラ島でザンダー(1の主人公)が死んだよ」という超重要な台詞があっさりと言われる。「ザンダーゾーンへようこそ!」がトリプルXの決め台詞だったのに!
2007/05/08|▼この記事の直リンク先
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- 襲撃された被害者であるはずのサミュエル・L・ジャクソンとオタクパシリは、何故か逃亡者になっていた。
- サミュエル・L・ジャクソンは刑務所に行き、かつての部下だったストーン(アイス・キューブ)と面会する。サミュエル・L・ジャクソンは新トリプルXにアイス・キューブを選んだのだ。アイス・キューブはGrand Theft Auto(車泥棒)な男だったが、ネイビー・シールズに入隊し優秀な隊員として活躍した。特に飛び込みの能力に長けており、250フィート(76メートル)の飛び込み記録を持っている(っていうか死ぬだろソレ)。その後サミュエル・L・ジャクソンの部下となり特殊部隊として活躍していたが、現国防長官(ウィレム・デフォー)の非情な命令に反発したため、軍事法廷で懲役20年の刑を喰らっていた。
- サミュエル・L・ジャクソンはアイス・キューブに「明日の12時6分に迎えに来るぜ」
と伝言を残す。
次の日の12時4分になったらアイス・キューブは突然看守達をボコボコに殴って脱獄する。次々に看守が襲いかかってきたが、全部素手で倒した。
- サミュエル・L・ジャクソン「お前が新トリプルXだ!」
アイス・キューブ「ポルノ男優みたいだな。そんなことより久しぶりにシャバに出たんだから、ナニが欲しいんだよ!」
ナニとはハンバーガーのことだった。
- アイス・キューブ(黒人)、サミュエル・L・ジャクソン(黒人)、オタクパシリ(白人)は安全な場所に隠れることにした。アイス・キューブが案内した安全な場所とは黒人のスラム街だった。オタクパシリは
「どこが安全な場所なんだよ!」とごもっともなツッコミ。
- アイス・キューブはスラム街で元カノを探すが(9年前の話だろ)、彼女は郊外で高級車ディーラーになっていた。
仕方ないので、一向はその街に行く。オタクパシリはアイス・キューブに向かって
「この街では君(黒人のチンピラ)は浮くから気をつけてね」
と失礼なツッコミ。
- サミュエル・L・ジャクソンはアイス・キューブとオタクパシリに「NSAの秘密基地に行ってハードディスクを盗んで来い」と指示をする。
オタクパシリはアイス・キューブに「隠密作戦ですからね」と作戦を伝えるが、アイス・キューブはオタクパシリを完全にシカト。秘密基地の上にある牧場にいきなりミサイルをブチ込む。
- NSAの秘密基地内には職員が大勢いたが、牧場が攻撃されたので牧場に出てしまう。おかげでアイス・キューブは秘密基地内のマシン室まで容易に侵入できた。マシン室からハードディスクを盗んだアイス・キューブは牧場近くの川へ向かい、ボートも盗んで脱出した(ボートの鍵はどうやって手に入れたの?)。
- アイス・キューブを追跡するNSAのエージェントたちもボートにやってくるが、アイス・キューブはボートを爆破してNSAのエージェントたちを吹き飛ばす。
- その頃車で逃げていたオタクパシリはパトカーに追われていた。アイス・キューブはオタクパシリに橋の上に逃げるように指示をする。
橋の上にオタクパシリとパトカーが到着した。アイス・キューブはボートを空に飛ばしてパトカーにぶつけて破壊。橋の上は大惨事となるがハードディスク強奪作戦は成功した。
- その頃自宅に戻っていたサミュエル・L・ジャクソンは、ウィレム・デフォーの一味に捕まってしまった。
- サミュエル・L・ジャクソンは「ハードドライブに情報がある」と言っていた。
アイス・キューブとオタクパシリはハードディスクの中身を調べるが何も入ってなかった。
アイス・キューブ「わかったぜ!データじゃなくて写真だ!」
つまりハードディスクのドライブ本体に写真がペタリと貼ってあり、その写真に情報があるのだ!って写真を隠すのにそんな方法は取らないだろ!(注:これは冷戦時代にスパイたちがやっていたマイクロフィルムの隠し方を、わざわざIT機器を使ってやっているギャップが面白いというギャグである。本当に面白いのかどうかは知らんが。)
2007/05/09|▼この記事の直リンク先
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以下はネタバレを隠していません
- 写真からチャーリーという女性(金髪巨乳美女)が事件に関連あるということを知ったアイス・キューブとオタクパシリ。アイス・キューブはチャーリーと接触しようとする。
アイス・キューブ「スーツを用意してくれ!」
オタクパシリ「良かった、僕(白人)の仲間になってくれるんだね!」
オタクパシリは相変わらず黒人のアイス・キューブに偏見を抱いている。
- スーツを着てチャーリーと接触するアイス・キューブ。そこで保守系の白人政治家と出会う。その政治家はアイス・キューブを見るなり「アフリカ系のあなたは何か提案することが?」と失礼な事を聞いてくるので、アイス・キューブは「カントリーミュージック(保守系の白人が好む)のCDは買うな!黒人を撃つのをやめろ!フライドチキンは配給制にしろ!わかったかチンコ野郎!」と返答。
- アイス・キューブはウィレム・デフォーの陰謀を暴くため、ウエイターとして政治家のパーティーに潜入する。刑務所を脱獄し政府の秘密基地を襲撃した犯人がどうして政治家のパーティーに潜入できるのかはサッパリわからない。
- アイス・キューブはパーティ会場で国防長官のウィレム・デフォーが今回の悪役だと気がつく。
しかし素顔のまま潜入したアイス・キューブは、悪役達に潜入がバレて逃走する。悪役たちは「黒人のウエイターを探せ!」と指示するが、ウエイターはみんな黒人なので、誰が誰だかさっぱりわからず。アイス・キューブの逃走は成功する。
- アイス・キューブはチャーリーに連れられて、チャーリーの自宅へ向かう。そこは普通の女性の家とは思えない超豪邸だった。何でもある豪邸に入ったアイス・キューブは
「ポテトとシェイクをくれ!」と要求。
ジャンクフードしか興味ないのか?
- しかし実はそこはチャーリーの自宅ではなく、アメリカ軍の将軍の屋敷だった。そして将軍は殺されており、チャーリーが消え、警察がやってくる。つまりチャーリーはウィレム・デフォーの部下で、アイス・キューブに将軍殺しの罪を被せたのだ。
豪邸の周辺を警察に包囲されたアイス・キューブ。
アイス・キューブ「俺は犯人じゃねえ!」
白人「お前は有罪にしか見えないぞ!」
アイス・キューブ「有罪に見えるのは生まれつきだよ!」
なんちゅーやり取りだ。
- アイス・キューブは電子レンジで食品を温めて、警察の熱感知探査をごまかすというよくわからん方法を駆使して包囲網から脱出する。
- 包囲網を脱出したアイス・キューブは元カノのところで潜伏する。元カノは高級車ディーラーとして成功しているが、元車泥棒のアイス・キューブはそんなことお構いなし。
アイス・キューブ「このお店には盗品が無いんだ」
元カノ「あなた、あの車覚えている?」
アイス・キューブ「覚えてるさ、初デートした車だろ」
元カノ「時速160キロでパトカー3台に追われていたわ」
- ウィレム・デフォーの国防長官が黒幕なので、アイス・キューブはオタクパシリに国防省をハッキングするように命令する。無茶言うな。でもオタクパシリはハッキングに成功。ウィレム・デフォーが空母インディペンデンスを使って兵隊やら装甲車を運ぼうとしている情報を掴む。
- そこでアイス・キューブは空母インディペンデンスに潜入する。ウィレム・デフォーが空母内にいるわけじゃないんで、別に潜入する必要は無いと思うんだが…。
- 空母に潜入して発見されるアイス・キューブ。そこでアイス・キューブは空母内の戦車に乗り込んで暴れまくる。敵もバズーカや戦車で応戦するので、空母内で砲弾が飛び交う大惨事となる。しまいにゃあ、アイス・キューブは空母のカタパルトに戦車を搭載させ、カタパルトで戦車を発射して敵の戦車にぶつけるという、最高のバカシーンまであった。
飛び込みの達人でもあるアイス・キューブは空母から飛び込みを実行して脱出に成功する。
- 空母内でたまたま入手できた情報などで、黒幕であるウィレム・デフォーの陰謀の全てが明らかになった。以下がその陰謀の手順である。
1:サミュエル・L・ジャクソンを捕獲する。
2:将軍を殺害する。
3:将軍の葬儀ということで、空母インディペンデンスで戦車やヘリや軍隊を調達する。
4:大統領の一般教書演説中にウィレム・デフォー率いる反乱軍が連邦議会議事堂を制圧する。
5:大統領、副大統領、下院議長、国務長官などを皆殺しにする。
6:ウィレム・デフォーが大統領になる。そうしてタカ派の政治を行う。
7:全ての罪はサミュエル・L・ジャクソンに被せる(どうやって?)。
2007/05/10|▼この記事の直リンク先
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以下はネタバレを隠していません
- アイス・キューブはウィレム・デフォーの陰謀を止めようとする。止めるためにはワシントンDCにある連邦議会議事堂へ行く必要がある。しかしワシントンDCはウィレム・デフォーが指揮するアメリカ軍で溢れている!彼らと戦っても勝ち目が無い!だから一緒にワシントンDCに攻め込んでくれるブラザーたちが必要だ。というわけでアイス・キューブはスラム街の黒人の犯罪者たちを仲間にしようとする。
アイス・キューブが「俺たちが自由に泥棒できる権利を守ろうぜ!自由は泥棒たちの手に握られている!」と言うと、Xzibit(ラッパー)を始めとする黒人の犯罪者たちが立ち上がってくれた。
- 武器を持たない黒人たちはマシンガンなどをパクってきて武装する。アイス・キューブとXzibitを先頭にし、音楽をガンガン鳴らしながら、盗難品で武装した黒人たちが盗難車でワシントンDCに殴りこんで、アメリカ軍と戦う!
素晴らしい。素晴らしすぎる。例え自分の肌が白だろうが黒だろうが黄色だろうが関係無い。心だけは黒でありたいと思わされる感動的な名シーンだ。
- 黒人たちの進撃を食い止めるため、アメリカ軍は戦車を投入する。だがブラックパワーはそんなことで止まらない。「戦車だと?”車”とついたもので、俺たちが盗めないものは無いぜ!」
と黒人たちは鮮やかな手並みで戦車から乗務員を下ろし、戦車を強奪する。
- その頃連邦議会議事堂内では、アメリカ合衆国大統領が一般教書演説で敵国との対話路線を訴えていた。その時ウィレム・デフォーが反乱を起こし、アメリカ軍を連邦議会議事堂内に投入、連邦議会議事堂は大混乱に陥る。
そしてアメリカ合衆国大統領が殺されるという瞬間に、黒人たちが戦車で連邦議会議事堂を攻撃(お前ら何がしたいんだ?)。不意を突かれたウィレム・デフォーの軍はほぼ壊滅し、サミュエル・L・ジャクソンも救出される。
- ウィレム・デフォーはアメリカ合衆国大統領を人質にして、連邦議会議事堂の地下へ行く。連邦議会議事堂の地下には緊急脱出用の高速列車があるのだ。
- 高速列車は新幹線やTGVよりも早く走る。もうアイス・キューブに追うことはできないはずだが…
アイス・キューブ「シェルビー・コブラ(スポーツカー)を持って来い!」
こうして高速列車(ウィレム・デフォー)VSヘリ(サミュエル・L・ジャクソン)VSスポーツカー(アイス・キューブ)という『ミッション・インポッシブル』を超えるクライマックスとなる。
- ワシントン市内をシェルビー・コブラで時速250キロで飛ばすアイス・キューブ。だがそれでも線路上を走る高速列車には追いつけない。そこでアイス・キューブはシェルビー・コブラを空に飛ばして線路上に着地。シェルビー・コブラは線路上を時速350キロで突っ走る(無理無理無理!)。追いついたアイス・キューブはグレネードで高速列車の後部を破壊し、高速列車に乗り移る。
- 高速列車内の残った敵はガス爆発で吹き飛ばした。アメリカ合衆国大統領はヘリが救出した。高速列車内にはアイス・キューブとウィレム・デフォーが残るが、アイス・キューブは高速列車が橋に差し掛かった時に、列車から飛び降りる。どう考えても助かりようのない高さだったが、アイス・キューブが飛び降りながら水面をグレネードで吹き飛ばすと、飛び込みに成功した。
- 高速列車内にはウィレム・デフォーだけが残された。もう事件は解決したようなもんだが、サミュエル・L・ジャクソンがわざわざミサイルで高速列車を吹き飛ばすので、ウィレム・デフォーは爆死した。
- こうして事件は解決した。反乱軍が連邦議会議事堂を攻めるという、同時多発テロやソビエト連邦クーデター以上の大事件のはずだが、事件は「容疑者不明」ということで終わった。
- 大統領を救った英雄は白人ということになり、アイス・キューブたちの活躍も表に出ることはなかった。しかしアメリカ合衆国大統領には、ちゃんと彼らの黒い魂が伝わっていたのだ。アメリカ合衆国大統領は2PAC(ラッパー)の歌詞を引用した演説を行う。
- サミュエル・L・ジャクソンの「事件は終わった。じゃあ次のトリプルXは誰にしようか?」
という身も蓋もない台詞で映画は終わる。
余談:この映画の監督リー・タマホリは、去年売春で捕まりました。買春じゃなくて売春で捕まりました。
2007/05/11|▼この記事の直リンク先
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